高値売課長
今回は古いマンションを貸す前に検討すべき、ある1つのことと題してお話ししてみたいと思います。
このことについて、シビアに検討していなかったがために、大変なことになってしまっている方を私は何人も知っています。
あなたはそんなことにならないよう、しっかりと事前に検討するようにして下さいね。
本当に収支はプラスになるのか
古いマンションを貸す前に絶対に検討すべき、ある1つのこととは、ズバリ、人に貸して本当に収支がプラスになるのかということです。
要するに
賃料収入―経費>0
に本当になるのかということですね。
多くの方がこのことをシビアに検討しないで安易に貸してしまったがために、大変なことになってしまっているという実情があります。
賃料収入―経費<0、もしくは、それに近い状態になってしまうのなら、面倒な思いをしてまで人に貸す意味なんてないのですから、しっかりと事前に検討するようにしてください。
これに関しては実際に賃貸に出すことを想定してシミュレーションをしてみるのが一番よいでしょう。
それでは以下、シュミレーションを行うための前提として、収支に影響を与える各要素について確認していきます。
収入
賃料
賃料については常に発生し続けるわけではない点に注意が必要です。
賃貸では、借主の退去というものが、つきものだからです。
空室期間を各年にならすと、賃料が発生している期間は、それなりに需要のあるマンションでも、1年のうち10カ月程度と考えるべきです。
入居一時金
入居時に借主から貸主に対して支払われる一時金のうち、退去時に返金する必要がないもののことです。
礼金もしくは保証金の解約引きなどがこれに該当します。
なお、近年は入居一時金が非常に低額になることが増えていますので、入居一時金についてはあまり期待しない方がいいかもしれません。
下手打さん
高値売課長
最近ではファミリー向けの物件でも入居一時金ゼロという物件をチラホラ見かけるようになりました。
支出
リフォーム費用
古いマンションを人に貸せる状態にしようと思えば、少なくとも50万円ぐらいのリフォーム費用は覚悟すべきです。
水回りの設備の交換等が必要になる場合には200万円ぐらい必要になることもあるでしょう。
さらに借主が入れ替わる度に、清掃費込みで10万円から20万円程度のリフォーム費用は必要になるものと考えておくべきです。
なお、賃貸している期間中に、あらたに故障個所が発生した場合には借主の故意や過失がない限り、その修繕に要する費用は貸主負担になることも知っておきましょう。
管理費、修繕積立金
管理組合に納めることとなるマンションの管理費や修繕積立金はマンションの所有者である貸主負担となります。
管理費や修繕積立金は空室時にも発生し続ける費用であることを忘れないようにして下さい。
固定資産税
固定資産税も当然のことながらマンションの所有者である貸主負担となります。
なお、固定資産税も管理費や修繕積立金同様、空室時にも発生し続ける費用です。
賃貸管理費
賃貸管理を不動産屋さんに委託するの場合に必要となる費用です。
(自分で管理する場合には不要です)
その金額は概ね、1ヶ月賃料の5%程度となります。
なお、賃貸管理費は家賃に対して発生するものなので、マンションが空室の際には発生しないことになります。
仲介手数料及び広告料
仲介手数料とは賃貸借契約の成約時に貸主側(あなたの側)の不動産屋さんに支払うことになる報酬です。
広告料とは同じく賃貸借契約の成約時に借主を仲介してくれた不動産屋さんに支払われる謝礼のようなものです。
仲介手数料と広告料は合わせて家賃の3ヶ月程度になるのが一般的です。
下手打さん
高値売課長
下手に広告料をケチって空室期間が長くなってしまうより、広告料を高く設定して、積極的に案内してもらって、さっさと入居者がつまってもらう方が賢いと考えているわけです。
賃貸した場合のシミュレーション
以上の内容に基づき、一つシミュレーションを行ってみましょう。
前提条件
入居一時金20万円
賃料月額8万円(古いマンションということですので、これぐらいに設定しておきます。)
管理費、修繕積立金月額4万円
固定資産税年額8万円
賃貸管理費月額4千円
初期リフォーム費用50万円
入居者入れ替え時リフォーム費用10万円
仲介手数料及び広告料は24万円(賃料の3ヶ月分)
入居者入れ替えは2年周期として、空室期間は1年あたり2か月間とする
入居者入れ替えを2年周期としたため2年間についての収支計算を行います。
収入
賃料
8万円×(12ヶ月-2ヶ月)×2年=160万円
入居一時金
20万円
支出
管理費、修繕積立金
4万円×12ヶ月×2年=96万円
固定資産税額
8万円×2年=16万円
賃貸管理費
4000円×(12ヶ月-2ヶ月)×2年=8万円
初期リフォーム費用
50万円
仲介手数料及び広告料
24万円
収支
160万円+20万円-96万円-16万円-8万円-50万円-24万円=-14万円
最初の2年の収支は14万円の赤字になるということですね。
ちなみに次の2年周期以降はリフォーム費用が50万円から10万円に下がりますので
収支=160万円+20万円-96万円-16万円-8万円-10万円-24万円=+26万円となります。
1年あたり13万円の儲けですね。
一応、最初の2年周期の14万円の赤字は、その後1年強ほどの期間で穴埋めできることになります。
もちろん、それも緊急の修理が発生したりしなければの話になりますが。
注意して頂きたいのは、これは決して悲観的なシミュレーションではないということです。
リフォーム費用などの設定はむしろ楽観的なものと言えるでしょう。
古くても高額な賃料がとれるような特別な立地のマンションでない限り人に貸して収支をプラスにするのは決して簡単でないことが、ハッキリとおわかり頂けますよね。
下手打さん
高値売課長
私が知っている人の中には、マンションを賃貸していた全期間の収支が、結局、プラスにならなかった人もたくさん、いますから。
下手打さん
手間をかけた上に損をするなんて、本当に最悪ですね。
今売る場合と将来売る場合の価格の差額の把握が必要
ちなみにこのシュミレーションはは保有期間中の現金の出入りにだけ焦点を合わせたものになります。
貸す場合と売る場合の損得をより正確に把握したいなら、これに合わせて現時点でマンションを売却した場合の売却価格と将来時点においてマンションを売却した場合の売却価格の差額についても検討する必要があります。
ちなみに一般論としてマンションは古くなれば古くなるほど売却価格が下がっていくことは言うまでもありません。
ですので、その点まで考慮に入れて果たしてマンションをすぐに売るのと、しばらく人に貸すのと、どちらが賢いのかをしっかり見極めるようにして下さいね。
高値売課長
たとえ年間収支がプラス100万円でも、その間に売却可能価格が200万円も下がってしまったら、元も子もないのですから。
まとめ
・古いマンションを貸す前には、人に貸して本当に収支がプラスになるのかということをシビアに検討すべき。
この点をシビアに検討しないで安易に人に貸すことを決めてしまうと本当に大変なことになってしまう。
・最終的に貸すのと売るのと、どちらが有利なるかについては、現時点でマンションを売却する場合の売却価格と将来時点においてマンションを売却する場合の売却価格との差額を把握し
マンションを貸すことによってその差額を埋めうるだけの収益を上げ続けることができるのかを検討する必要がある。
高値売課長
どうしてもマンションを貸したいという場合には本当にシビアに収支をシミュレーションしてみた上で判断するようにして下さいね。
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