高値売課長
まあ、昔から、非常によくなされる議論ですよね。
まず、結論から言ってしまいましょう。
マンションを売るのと貸すのとどっちが得になるのかというのはケースバイケースです。
つまり、マンションや売主さんの個別の状況ごとに判断するしかないということですね。
そこで、ここでは、ご自身で個別状況に応じて判断して頂けるよう、売るのと貸すのと、どっちが得になるのかを判断するにあたって用いるべき絶対的な基準をご紹介しておきたいと思います。
これが4つの絶対基準だ!
マンションを売るのと貸すのとどっちが得になるのかを判断するにあたって用いるべき絶対的な基準は以下の4つになります。
1.マンション価格の周辺相場の動向
マンション価格の周辺相場が上昇傾向なら、貸す方がいいでしょうし、逆に下降傾向なら売る方がいいということです。
価格相場の上昇をもたらすような事実としては次のようなものがあります。
・駅が新設されるなど周辺環境の利便性がアップする
・景気が良くなる
逆に価格相場の下降をもたらすような事実としては次のようなものがあります。
・新築マンションの分譲予定がたくさんある。(それ以前に建ったマンションの価格を押し下げる可能性が高い)
・周辺環境の悪化が懸念されるような施設ができる予定がある。
これらの事実を総合的に勘案してマンション価格の周辺相場が上昇傾向にあるのか、下降傾向にあるのかを予測、判断していくということですね。
下手打さん
経済に関することについては全くもって、疎くって。
高値売課長
下手打さん
高値売課長
日銀短観をチェックすれば企業が景気について、どう感じているか、消費者物価指数をチェックすれば消費者が景気について、どう感じているかを把握することができますので。
どちらもインターネットで検索すれば、すぐにわかりますよ。
2.賃貸需要
賃貸需要が高いエリアなのか、低いエリアなのかということです。
賃貸需要が高いか、低いかということは募集賃料はもちろんのこと、募集期間の長さにも影響する非常に重要な要素です。
賃貸需要の高低については周辺の賃貸物件の数や、その空室状況などから推測することになります。
一般論としては都市部では賃貸需要が高く、地方に行けば行くほど賃貸需要が低くなります。
また、同じ地域内でも駅から近いと賃貸需要が高く、駅から離れれば離れるほど、賃貸需要は低くなることになります。
下手打さん
高値売課長
なお、その際には必ず、賃貸の客付けを専門で行っている不動産屋さんを選んできくようにして下さい。
売買をメインでやっている不動産屋さんは、同じ地域と言えども、賃貸需要については、ほとんど把握していないはずですので。
3.賃料相場
賃料相場がこの後、見る各種費用を十分にカバーし、少なからず収入(キャッシュフロー)をもたらしうるものかということです。
賃料相場についてはインターネットで物件を検索すれば簡単に知ることができます。
同一地域内で、同程度のマンションが、どの程度の賃料で入居者を募集しているのかをチェックしてみて下さい。
なお、個人が所有する分譲マンションの募集賃料はやや高めに設定されていることが多いです。
実際には、そこから結構、大き目の賃料交渉があった上で、成約することが多いですので、そのことを考慮して現実的にとることができる賃料を、しっかりと把握するようにして下さい。
募集賃料から10%程度、割り引いて考えるのが無難です。
高値売課長
一般論としては分譲マンションの方が設備等の面でグレードが高くなっていますので。
4.各種費用の高低
マンションを売らずに賃貸すると、様々な費用がかかります。
その費用が賃貸することによって得られる賃料に見合ったものかということです。
マンションを賃貸する際に必要となる費用としては以下のようなものがあります。
1.固定資産税
2.管理費
3.修繕積立金
4.住宅ローンの返済費(住宅ローンが残っている場合)
5.管理手数料
賃貸物件としてのマンションの管理を賃貸物件の管理会社に委託するための費用です。
(分譲マンションの管理組合に支払う管理費とは別物です。)
通常、賃料の5%程度を毎月、支払うことになります。
6.仲介手数料
賃貸借契約が成立した際に貸主側の仲介業者に支払う手数料です。
通常は賃料の1月分です。
※難しい話は割愛しますが国土交通省の定める報酬規程との関係で、仲介手数料という名目で1月分を報酬として受け取ると問題が起こる可能性があるので広告費と一まとめにするなどして別の名目で請求されることが多いです。
7.広告料
賃貸借契約が成立した際に借主側の仲介業者に支払う金銭です。(仲介手数料ではありません。)
実際には広告をしてもらっているわけではありませんが、昔からの取引慣行として黙認されているところがあります。
広告料の金額はばらつきがありますが、空室が増えているエリアでは、なるべく優先的に案内してもらいたいという事情から高額になりがちです。
最近では広告料が賃料の3ヶ月分という物件もよく見かけます。
8.リフォーム費用
入居者が入れ替わる度にリフォームする必要があります。
時々、節約するために、リフォームを、ほとんどしないで募集しているマンションを見かけますが、そういうマンションはやはり入居の申込みがあるまでに時間がかかってしまっています。
多少リフォーム費用が高くついても、さっさと入居者が決まる方が結果的に収支はプラスになりやすいので、ケチらずにお金をかけるべきと言えます。
壁紙の張替えと簡単な掃除だけのリフォームで費用は賃料の2か月分といったところでしょうか。
それ以外にも水回り等で故障があれば、その都度、修繕する費用の負担が必要になります。
高値売課長
以上がマンションを賃貸するために必要となる費用です。
特に気をつけなければならないのが1から4の費用ですね。
5から8の費用は賃料等の収入があること(もしくは、あったこと)を前提にして発生する費用ですから、仕方がないと考えることもできますが1から4の費用は、賃貸できなくても、マンションを持っているだけでかかる費用なので実質的にも精神的にも負担が大きいからです。
賃貸需要が小さく、募集期間が長くなりそうなエリアでは、この負担のことを特に考慮して売るべきか、賃貸すべきかを検討するべきと言えます。
下手打さん
仲介手数料、広告料、リフォーム費用あわせて賃料の6ヶ月分にもなることがあるのか。
高値売課長
昔は、こういった費用の大半を入居者から受けとる礼金等の一時金で賄うことができたのですが、今では、それもかなり難しくなっています。
敷金・礼金がゼロというような物件も増えてしまっていますので。
まあ、いずれにしてもマンションを貸すことを検討する際には、費用負担のことを、かなり慎重かつ綿密に考えておくべきです。
まとめ
・マンションを売るのと貸すのとどっちが得になるのかというのはケースバイケースである。
・売るのと貸すのとどちらが得になるのかを判断する際の絶対的基準は以下の4つ。
1.マンション価格の周辺相場の動向
2.賃貸需要
3.賃料相場
4.各種費用の高低
※各種費用の内容
①固定資産税②管理費③修繕積立金④住宅ローンの返済費(住宅ローンが残っている場合)
⑤管理手数料⑥仲介手数料⑦広告料⑧リフォーム費用など
下手打さん
単に面倒くさいだけなら、まだしも、貸すことによって、かえって損するようなこともあるんじゃないですか?
高値売課長
さらに言うと入居者が何らかの事情で、家賃を滞納したりすることもありますしね。
ただ、それでもなお、マンション価格が上昇している局面ではしばらく賃貸にまわしておいて、値上がりするのを待ってから売る方がはるかに得になることもあります。
実際、マンションの売却価格が購入価格を1000万円以上も上回ったという話もちらほら聞きますからね。
だからこそ、上記4つの基準を使って、マンションを売るのと貸すのとどっちが得になるのかを慎重に検討しなければならないわけです。
下手打さん
では上記の4つの基準をつかってもなお、マンションを売るのと貸すのとどっちが得になるのか判断がつかない場合には、どうすればいいんでしょうか?
高値売課長
それがもっとも後悔の少ない結果になるはずですので。
下手打さん
興味本位の質問ですいません。
高値売課長
私ならきっと、売る方を選ぶと思います。
貸主として色んな対応をしなければならないのが面倒くさいので。
仕事以外のことにエネルギーを使いたくないんです。(笑)
あと、リスクはなるべく取りたくない性分なので。
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